2016/07/24

6.βグルカンの認識機構

2011年のノーベル医学生理学賞に代表される功績は、自然免疫の活性化と適応免疫との相互作用であります。

その役割をつなげる発見・証拠として、マクロファージや樹状細胞、好中球などの表層に位置するリガンドの存在とその機能解明は欠かすことができません。

その中でも有名なものは、既述のTLRで、多くのリガンドが同定されてきました。DNAやRNAなどの核酸分子、鞭毛、細胞表層多糖であります。

特にβグルカンでは、その特異的受容体として、β2インテグリンに属する補体受容体であるCR3、Lactosylceramide、およびC型レクチンであるDectin1の研究は進んでいます。

CR3はRossらにより80年代後半に体系的に研究が報告されました。大野らの組換え型CR3やCR4発現研究においてもその確認がなされてきました。

Lactosylceramideは、βグルカン種によりその特異性が変わることが、大野らにより報告されています。90年代にはβグルカンのリガンドとしてDectin1が注目され、西城らやBrownらによるノックアウトマウスにより明らかにされました。

C-Type lectinであるDectin1は哺乳動物の白血球細胞膜に発現し、菌体の貪食や活性酸素産生、サイトカイン産生などの生体防御機構に深くかかわっており、現在研究が進んでいます。その認識構造は、真菌由来のβ-1,3-グルカン、β-1,6-分岐を有するβ-1,3-1,6-グルカン、植物由来の直鎖状でβ-1,3-結合とβ-1,4-結合を交互に有するβ-1,3-1,4-グルカンに結合し、大きさ的には10-11糖以上のβ-1,3-オリゴ糖、さらに構造的にはβ-1,6-分岐を有するほうが結合力が高いことが示されています。

βグルカンとはに戻る