2018/10/26

食品開発展2018 β-グルカン協議会特別プレゼンのご報告

食品開発展2018におきまして、β-グルカン特別プレゼンを行いました。
内容は基調講演とβ-グルカン協議会会員企業によるプレゼンです。

長時間にわたる講演にも関わらず、多くの方々に参加いただき、盛会となりました。
皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

                   記

日 時 : 2018年10月4日(木) 13:00〜15:20

場 所 : 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)

        西展示棟2F  L会場

来場者数: 107名

【1】基調講演 

  講師: 神戸大学大学院農学研究科 水野雅史 教授

  演題:食品由来高分子多糖による腸管を介した生理機能

  内容紹介:

 レンチナンの炎症性疾患抑制機能、フコイダンによる新規アレルギー抑制機能、およびそのメカニズムに関し説明いただきました。具体的な内容は下記です。

レンチナンは、シイタケ由来の機能性多糖(β-1,3/1,6グルカン)です。培養したマクロファージをリポ多糖(LPS)で刺激し活性化したin vitroの腸管炎症再現システムにより、本物質が炎症性腸疾患への抗炎症作用があることを見出しました。また、本抗炎症作用は、デクチン-1受容体を介して認識されて、最終的にはマクロファージなどの免疫担当細胞から放出される炎症性サイトカインであるTNF-αを認識する受容体(TNFR1)の発現量が減少することで、炎症下で生成されるTNF-αに対する感受性の寛容が起こり、結果的には腸管バリアー能の破綻抑制、さらには炎症状態への負のスパイラルが抑制されることを明らかにしました。

一方、フコイダンは褐藻類に含まれる多糖類で、抗炎症、抗凝固の作用を持つことが知られていますが、ここでは特にマコンブに含まれるF-フコイダンに焦点を当てました。F-フコイダンはT型アレルギー抑制機能があることを確認し、さらに本機能は腸上皮細胞への作用によりガレクチン9(βガラクシドを認識するガレクチンファミリーの一種)が分泌され、これがIgEと肥満細胞との結合を阻害することで発揮されることを明らかにしました。

【2】β-グルカン協議会会員企業プレゼン

1.大麦βグルカンの紹介と商品開発への応用-        みたけ食品工業
大麦βグルカンの紹介とみたけ食品工業鰍フ開発品「β-グルカンリッチ大麦粉」について説明した。
製品説明:大麦を粉末にすることで、小麦粉の置き換えとして大麦β‐グルカンを手軽に摂取できる。
(本品100g中大麦β‐グルカン8%含有)
生のタイプだけでなく焙煎のタイプも取り扱っており、加熱せずにそのまま召し上がれる。
また弊社の特許技術で大麦βグルカンを濃縮した「βグルカン濃縮大麦粉」も開発した。
(本品100g中大麦β‐グルカン20%含有)
利用方法:主にパン、麺、焼き菓子

2.ハートに優しい大麦生活-         豊橋糧食工業株式会社
大麦に関する基礎知識、高β-グルカン大麦品種のご紹介、弊社開発商品や使用例のご紹介。
製品説明:Orge大麦シリアル5.5(機能性表示食品)、Orgeもち麦シリアル6.6、大麦粉の使用例
Orge大麦シリアル5.5・・・原材料は大麦だけ、砂糖、添加物不使用のシリアルです。スティック1本30gで食物繊維5.5g以上、
大麦β-グルカン3.0g以上を摂取できます。牛乳やヨーグルト、その他サラダなどにトッピングして手軽に食べられます。
Orgeもち麦シリアル6.6・・・高β-グルカン大麦品種、もち種のワキシーファイバーを使用したシリアルです。
スティック1本30gで食物繊維6.6g以上を摂取できます。
大麦粉使用例・・・麺、パン、焼き菓子などに使用できます。豊川市の有名ラーメン店の麺にも使用されています。
利用方法:上記製品説明に記載
試験結果:大麦食品推進協議会所有の大麦β-グルカンSRに準ずる。

3.飲料に適した「大麦β-グルカンシロップ」-臨床試験結果報告-         群栄化学化学工業
 群栄化学工業の開発品「大麦β-グルカンシロップ」について、製品説明、臨床試験結果について報告。
 製品説明:大麦β‐グルカンを飲料の形で手軽に摂取できる素材としてシロップを開発。本シロップは、大麦を原料とし、大麦と同量のβ‐グルカンを含有する。
 利用方法:主に飲料、その他ゼリー用食品素材(β‐グルカン1g摂取可能)、
 試験結果:UMIN登録した上で、臨床試験を実施。その結果、紅茶飲料でβ‐グルカン1g摂取することにより、セカンドミール効果があることを確認した。

4.オーツ麦を主原料とするフルグラ® の研究の紹介   カルビー株式会社
オーツ麦を主原料とするシリアル食品『フルグラ®』について、製品説明と臨床試験結果の紹介を行いました。
フルグラ®はフルーツグラノーラというシリアルの一種で、朝食として用いられることの多い食品です。
朝食に関する臨床試験の結果、朝食欠食者が朝食を食べることで、睡眠や精神的QOLへの効果が確認されました。
また、フルグラ®を2週間食べることで、便通、QOLへの効果が確認されました。

5.ADEKAの2つのβ-グルカン      株式会社ADEKA
ADEKAからは大麦β-グルカンと黒酵母β-グルカンについて紹介しました。
新製品である「大麦ベータグルカン30SP」はβグルカン30%以上の水に溶ける粉末製品です。
少量添加で味への影響も少なくβグルカンを摂取することができます。
飲料やスープのみならず、様々な種類の食品に使用できます。
黒酵母β-グルカンはβグルカン1%以上の無色透明な液体であり、
飲料をはじめとした製品に無理なくお使いいただけます。
 

6.水熱処理された黒酵母βグルカンの物性について            伊藤忠製糖
一般的な黒酵母のβグルカンは菌体外に分泌されますが、非常に高い粘性をもっているため、これまで応用用途が限られていました。
クルルのβグルは水熱処理を施すことにより、粘性を低下させ、高度精製を可能にし、ハンドリング良好で幅広い製品に応用可能な製品となっております。
【特長】
・黒酵母(Aureobasidium pullulans)由来 β1.3/1.6グルカン
・高い水溶性で(10%程度まで溶解可能)、低粘度、透明な水溶液が調整可能
・高純度、βグルカン含量90%以上

7.アウレオバシジウム(黒酵母)β-グルカンのエビデンス       株式会社アウレオ
 株式会社アウレオの主力商品は、社名にもなっている黒酵母、学名アウレオバシジウムを発酵して得られるβグルカンです。
 この(黒酵母)β-グルカンは、水溶性食物繊維であり、体内動態で血中濃度や他の薬剤との相互作用が懸念される低分子サプリメントより、 安全性が高いと考えています。また高分子の水溶性食物繊維でも腸管のパイエル板にとりこまれていることを 特許にもなった技術で確認しています。この2点がアウレオのすべてのエビデンスのベースになっています。
 国内外で42件の特許のベースとなった様々なエビデンスを持つアウレオバシジウム(黒酵母)β-グルカンは、 サプリメント、食品素材、伴侶動物用サプリメント、飼料など様々の応用ができる期待の健康素材です。

8.微細藻類ユーグレナと含有多糖パラミロンの機能性           株式会社ユーグレナ
ユーグレナは和名をミドリムシという微細藻類の一種です。もしかしたら、ユーグレナとβ-グルカンにどんなつながりがあるのかと思われるかもしれません。実は、ユーグレナが貯蔵多糖として含んでいる「パラミロン」はβ-グルカンの仲間なのです。
ユーグレナの主要な成分のひとつであるパラミロンは一般的なβ-グルカンと同様、さまざまな生体への機能性を発揮します。
今回はアトピー性皮膚炎の症状緩和やインフルエンザウイルス感染症状の緩和など、免疫機能に特化してご紹介をさせて頂きました。

                                                                          以上

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