2016/09/21

1.はじめに

 酵母菌や乳酸菌などの微生物の細胞壁成分を通じて、生体防御機構や腸管免疫機構などに関連するあらゆる機能性研究が進んでいます。

特に2011年のノーベル医学生理学賞に象徴される自然免疫の意味・役割や、獲得免疫との関連が明らかになる中、現代の食品免疫学はより深化しているといっても過言ではありません。

一方、超高齢化社会を迎えようとしている現在、種々の課題が押し寄せています。特に健康保険の破たんはこのまま放置すればあきらかで、国民の期待しうる保障に大きな課題があります。

また、日本は世界でも健康長寿国の一翼を担っており、その実証や恩恵を享受するには健康寿命延伸というアプローチは重要で、その方策についてはいくつかの試みが実施されています。

特に「食と運動と健康」は、三位一体で、今後の重要な課題であり、鍵となる研究施策であることは言うまでもありません。

 2015年4月に改正された食品表示法の目玉である新たな保健機能食品制度は、その後押しになっています。

すなわち、食品の1次、2次、及び3次の各機能は重要で、特に3次機能が注目されています。中でも[TS1] 最近の腸管免疫学の進歩は目覚ましいものがあり、食品の健康訴求を含めて、その方向で進めることができれば、産業上、さらにはビジネス上、注目されるものになり得ます。

わが国では、みそ・醤油やお酒など発酵産業が古くから主要産業をなしており、その中ではカビやキノコ、酵母などの真菌類は重要で、その種類は100万種をこえるといわれています。

これらの細胞壁は主に機能性多糖で構成されており、中でも後述するβ-1,3-グルカンやβ-1,3-1,6-グルカンなどのβグルカン多糖は今後も注目されるべき興味ある素材であるといえます。最近では穀類に含まれるβ-1,3-1,4-グルカン多糖が生活習慣病の改善に効果があることが欧米を中心にわかってきました。

 

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